東京大学原発災害支援フォーラム(TGF)について

活動趣旨

2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故により、大量の放射性物質が放出されました。このため周辺地域の多くの住民が避難を強いられ、また広範囲の方々が被曝線量に多大な不安を抱えながらの生活を余儀なくされています。
この災害とその影響について、事故後、長期にわたり適切な科学的情報が十分に示されず、安全なのか危険があるのか、危険があるならどれほどなのかで専門家の見解が分かれ、市民は途方にくれることが少なくありませんでした。

私たちは東京大学を初めとする多くの大学や研究機関の組織や構成員が、この点で大いに責任があると考えます。東京大学では早くから「環境放射線対策プロジェクト」という部署が東大柏キャンパスの放射線量について東京大学のホームページに情報を掲載していました。「東京大学環境放射線情報」というものですが、その適切さが大いに疑われました。ところが、やがてそれは柏キャンパスが位置する柏市を初めとして東葛地域の諸自治体に引用され、過度に「安全」を印象づけるのに、また自治体や住民の混乱を増幅するのに一役買うことになりました。現在もその内容には疑問な点が残されています。

私たちは東京大学の組織と構成員が、この災害を通してそのあり方を問われていると感じています。「御用学者」という言葉が多用される事実があるように、大学や研究機関、そして研究者のあり方を考え直さなくてはならないときなのかもしれません。
もちろんそのような大問題に即座に明確な答を示すことはできないでしょう。しかし、科学者・研究者としてその社会的責任を問い直しつつ、一般市民に適切な情報を提示し、市民の問いかけと情報交換のお手伝いをすることならばできるでしょう。

このフォーラムを立ち上げたのは、このように考えたからです。
福島大学では早くも2011年4月1日から「福島大学原発災害支援フォーラム」(FGF)が立ち上がり、学際的な相互啓発を進めるとともに市民への有益な情報提供を行ってきています。私たちは6月13日より「「東京大学環境放射線情報」を問う東大教員有志のページ」を立ち上げ、総長との交渉を行いつつ市民への情報提供を行って来ましたが、福島大学原発災害支援フォーラムに触発されながら「有志のページ」を発展させ、ここに「東京大学原発災害支援フォーラム」を立ち上げます。

私たちは多大な被害をこうむった方々、またなおこうむりつつある方々に、すぐに役立つ具体的な支援を行うような力をもちません。とはいえ、それぞれの学問的科学的素養を通して、また学際的な相互交流を通して、情報を提供したり、市民の疑問に応答するなど、私たちがすべきことは多々あるはずです。専門分野や所属組織を超え、大学人として、また学問共同体の構成員として協力し合いながら、被災者支援と市民への適切な情報提供を心がけます。
特に、大学人として、また学問共同体の構成員として、自らのあり方を原発災害を通じて問い直すことは、我々の責務であると考えます。東京大学を初め、今日における大学や研究機関のあり方、科学者・研究者のあり方、学問共同体のあり方への反省を深めていきたいと考えています。

世話人

押川正毅(物性研究所)
影浦峡(教育学研究科)
鬼頭秀一(新領域創成科学研究科)
島薗進(人文社会系研究科)
中西徹(総合科学研究科)
福田健二(新領域創成科学研究科)
安富歩(東洋文化研究所)